2019/09/19 14:12

はじめまして、3Dプリンターを用いて、趣味でモノづくりをしているmuxon(ムクソン)です。

この度、教育版レゴマインドストームEV3基本セットに入っている、ピンを簡単にカウントできる道具『LEGOHIVE』を作成しました。
当製品が何をするためのモノなのか、あると何が嬉しいのか、どういう特徴があるのかを説明していきます。



#作成した背景

近年のプログラミング教育の必修化を背景に、子ども向けのロボットプログラミングが注目されています。様々な教材の中でも、MITメディアラボとレゴ社が共同開発した「レゴマインドストーム」が学習塾や学校やイベントを中心に用いられています。この教材は、「レゴ・テクニック」のパーツと、専用のモータやセンサーと組み合わせてロボット製作を行います。さらに、レゴマインドストームを用いたロボットコンテスト(WROⅬFF)が開催されており、毎年多くの子どもたちが参加しています。
プログラミング教材レゴマインドストームの中でも、「教育版 レゴマインドストームEV3 基本セット」というセットは、多くの学習塾や学校で用いられており、このセットが複数台用意されています。そのため、複数人の子ども達が同時に授業を行うと、子どものパーツが別の子どものパーツと混ざってしまい、セットの中でパーツの過不足が発生してしまうことがあります。一方、一部のロボットコンテストでは、このセット内容のみでロボット製作を行うように、レギュレーションが決まっている大会もあります(WROベーシック)。基本セット以上のパーツ数でロボットを作成すると、ルール違反になってしまうため、学習塾や学校やイベントのスタッフは、子どもが使った後の基本セットのパーツ数が、基本セット通りに入っているか授業後にパーツを数え直す作業が発生してしまいます。
レゴマインドストームEV3のパーツは、同じ種類が4個~8個組のパーツがほとんどです。しかし、釘のようなパーツである黒色ピンや青色ピンはセットの中でも大量に数える必要(黒が60個、青が30個)があります。パーツを数える作業で、せめてこのピンを数える作業だけでも効率化したいと思い、この道具を作成しました。
『全てのパーツをマシンに入れればカウントされて出てくる仕分け機』や、『カメラでパーツ認識し、テンプレートマッチングや機械学習によって画像認識からパーツ数をカウントするシステム』等も考えました。しかし、モノの頒布性、導入コスト、開発期間等の理由から「一番パーツ数があり、単調な作業であるピンのカウント」の効率化が妥当なラインだと考え、製作を進めました。

#数えられるパーツ
数えることのできるパーツは2種類です。
・LEGO Technics connector peg black 2 mod No:2780 (ここでの呼称:黒色ピン)
基本セットに60個入っている、モジュール2個分の長さの黒色のピンです。
・LEGO Technics connector peg blue 3 mod No:6558 (ここでの呼称:青色ピン)
基本セットに30個入っている、モジュール3個分の長さの青色のピンです。
形が同じであれば違う色でも数えることができます。


#使い方
①数えるパーツのプレートをケースにセットする
②パーツをケースに流し込む
③左下のパーツ出口を抑えながらケースを振り、パーツがプレートの溝に入るようにする
④すべての溝にパーツが入ったら、余分なパーツをパーツ排出口から排出する
⑤プレートを外す
⑥パーツ排出口からパーツを排出する(数えたい個数が出てくる)
詳細は実際に使用している動画を御覧ください


#工夫点

当製品はプロトタイプを重ね、使用感の向上を図りました。(半分自己満足ですが)

①プレートの溝の形状
パーツを早く数えられるように、プレート溝に凹状の溝を作りました。
この溝によって余分なパーツを排出する際に、引っかかりにくくなりました(当社比)。

②プレートがズレることを防ぐマグネット
余分なパーツを排出する際に、ケースを斜めにする必要があります。
その時に、プレートがケースから浮いて、パーツを数え直す必要がありました。
不意にプレートが浮かないようにケース底部とプレートにマグネットを取り付けました。

③プレートを取り出しやすい傾斜
ケースの壁が垂直であった場合、プレートが壁に引っかかり、取り出しにくい事がありました。
プレートをスムーズに取り出す事ができるように、ケースの壁に傾斜をつけました。

④ケースを重ねてスタック可能
ケースの壁に傾斜を付けることで2つ以上のケースを重ねる事ができました。

⑤金属ラック等に貼り付けて収納可能
底部に取り付けたマグネットにより、金属ラックやホワイトボード等に貼り付ける事ができます。
「使いたい時に何処へ行ったの分からなくなった」等が起こらないように、収納方法も設計に取り入れました。

⑥青色ピンプレートの傾斜
青色ピンバージョンのプレートは周りの余白(溝が無い部分)が広く、余白にピンが滞留してしまい、黒色ピンと比べて溝にパーツが入るまで時間がかかってしまいました。そこで、余白部分は内傾斜を付けることで、青色ピンでも黒色ピンと同じ使い勝手でカウントできるように設計しました。

#ネーミングについて
この道具は「LEGOHIVE(レゴハイブ)」という名前がついています。語源は『養蜂箱:Beehive』です。パーツを整列させた時の見た目が「養蜂箱」にハチが集まった姿に似ていたからです。また、HIVEには「群居する」という意味があります。LEGOのパーツが集まって元のパーツケースに帰る事から、「LEGOの巣箱」=「LEGO+HIVE」と組み合わせて名前が付きました。命名は、@famichu氏の発案です。


説明は以上になります。
商品の購入ページはこちら。



#3Dデータについて
また、当製品の3DデータはThingverseにて無料配布しています。ご自宅に3Dプリンターがある方は自由に出力することができます。
※クリエイティブ・コモンズ・ライセンスによって、営利利用は不可。個人や非営利団体(NPO)の利用に限ります。

出典
・レゴマインドストームEV3, https://ev-3.net/mindstorm/
・bricklink, https://www.bricklink.com/v2/main.page
・部品とその名前, https://canvas.instructure.com/courses/1107272/pages/dietali-i-ikh-nazvaniia?module_item_id=11604770